2012年10月16日火曜日

アイを喰らうモンスター 禁断の多数決「はじめにアイがあった」レビュー

神への不信は「悪魔」というモンスターを

性欲という制御不可能なココロのエネルギーは「フランケンシュタイン」を

そして核という神の領域への侵犯は「ゴジラ」を



人間という異形の生物は常に自らの影の分身としての怪物を生み出してきた


僕は心理学者ユングが生前最後の著作としてUFOの正体を語った
「空飛ぶ円盤」が好きだ


人類、地球上に生まれた人というこの不可思議で
奇妙なフリークスは何百年、いや何千年という時間の中で
幾度もUFOを自ら"生み出して"きたのだ
「空飛ぶ円盤」より C・G・ユング(性格良し子ちゃん超意訳)



衣食住以外の人間の活動、よーーーく考えれば
そんなんいらないじゃーーーんってなそんな「余計な部分」
でもとーーーーにかくめっちゃ昔から、
っていうか人間がとんでもなく窮屈なこの地球に存在するようになってから何千年も
そう、そんな「余計な部分」が芸術と呼ばれる以前から
僕等のとおーーーーーい先輩達は神話という形で
はたまたイメージという形でその余分な何かを表現してきた。
UFOという"イメージ"もその過剰な部分が生んだ表層の一パターン

人間というFREAKSは何時の時代にも
自らの特異性をこの無情な世界へと放り投げる生々しい物語と
自らの分身のような異形なイメージを必要とする生き物なのだ


キャンバスに描かれたり書物になれば「芸術」と呼ばれるそんな余分。
その本質、欲望と恐れと希望と絶望が生みだした本当の姿


初めて彼等の楽曲を聴いて大騒ぎ!!

その時の熱狂tweetはコチラ!!


それから約一年!!


禁断の多数決、ほんとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーに待望の
1stアルバム「はじめにアイがあった」は





正にモンスターである。








「透明感」や「アナザーワールド」「MERRY CHRISTMAS MR.WALKEN」

といったウェルメイドなポップス






そして2012年今現在発表されたどんな楽曲よりも
優れてアイドルポップスな「サン・カムズ・アップ」


そうした部分が彼等の音楽へのアクセスを容易にしていたり
そうした高性能ポップスグループとしてのスキルも禁断の多数決の魅力の一つだったりするかもですが

でも禁断の多数決の本質はそーいうとこじゃないと僕は思います。


このアルバムの最大の意義はリーダーでもありほぼすべての楽曲の製作者である
ほうのきかずなりという
邦楽ロック史に忽然と現れたとてつもない才能が紡ぎだす
その異形な、モンスターとしての「コトバ」
僕等の「もどかしさ」を徹底的に追い込んだ歌詞にあると思います。


実はこの10年くらいロックミュージックにおける言葉はどんどん
「ウタ」の言葉へ"特化"していてアニソンや歌謡曲へと
その構造は近づいてきていました。




でもロックミュージックのコトバはすべからく「ウタ」へと向かうべきなのか??





っていうかロックミュージックってそもそも「ウタ」なの???





ロックミュージックってそもそも






「モンスター」なんじゃないの???



この1stアルバム20曲!!に渦巻く
コトバコトバコトバコトバコトバコトバの嵐!!!!
はじめにアイがあったというタイトルとは裏腹に
ほうのき氏はほとんどの歌詞を



もどかしさ



まるでフランケンシュタインのようにつぎはぎにされた
正に「モンスター」のようなコトバ達で
決して繋がることのない僕等の姿をこれでもかと描いていきます



えーーーー禁断のー歌詞ってぶっちゃけムーンライダースとかP-MODELとか
とかヒカシューとかハルメンズとかetc      
80年代のNEW WAVEの歌詞とどこが違うわけーーー???
と日本語ロック通の方々にはつっこまれるかも。

でもそうしたオールドスクールロックの歌詞が
「モンスター」である自らの姿をいびつなコトバで描写しつつ
鏡に映ったその姿におののく様を唄っていたのに対し
ほうのき氏のコトバは僕らの中に潜む怪物性を描きつつ

しかしまるで映画FREAKSのラストのように悲しく高らかに





映画ミツバチのささやきのラスト、怪物に出会ってしまった少女アナが
窓の向こうの暗闇に向かってささやきかけるように




その異形を唄う


恵みを受け 愛しむ花火の輪
放つスーパーノヴァ
「アナザーワールド」



波の音鳴る海岸で絶えず演奏倣わす回答で
燃えやすく誇れるファイア
「MOODHIT LANDSCAPE」



愛を打つ快音 放つビーム
「TROPICAL SPLASH」




このアルバム実はものすごく性的なセクシャルなアルバムでもあるけれど
それはこうしたフレーズが僕等のもどかしさを捉え、放り投げ
メロディーやビートの中でもう一度交配!!させようとたくらんでいるから。
アニコレからビーチボーイズ、エレクトロニカから祭囃子まで
あらゆる音の塊にアンセムに飲み込まれて
僕等はそうしたコトバと共に「溶け出して」しまうのだ。



すっごいなぁ・・・・僕はこれは一つの「発明」に近いと思いまっす!!!!



僕は初めて禁断の多数決の楽曲を聴いた時
どーーーーーーーーーーーーーーーーして音楽誌は全部彼等を
表紙にしないんだよーーーーーー!!!!!と怒り狂ったことがある

でもその理由がこの「はじめにアイがあった」を聴いてよーーやくわかった


それはもうこのアルバムは

音楽ではないからだ。



これはアイを喰らう彼等が生み出してしまった


怪物なのだ。



2012年、日本のロック史に残る大傑作/怪物が生まれたこと
それを僕は心から嬉しく思います!!!!






0 件のコメント:

コメントを投稿