僕は音楽と初めて恋に落ちた瞬間を覚えている
その曲は突然ラジオから鳴りだしたのだ
聴いた事のない分厚い(三連の)音
そしてオーケストラが3つぐらい同時に演奏しているかのようなブレイク
そして聴こえてきたのは「お、男の人だよね?!」と一瞬戸惑ってしまうくらい甘い歌声
もっと聴いていたいのにDJは一番が終わると無情にも曲のレベルを下げてお喋りを始めて最後にこう言った
「曲は、君は天然色 大滝詠一でした」
この時僕は大滝詠一という人が作る音楽に恋をした
初恋だった
おんがくとおんなのこ
僕の全てはこの曲からはじまった
僕が生まれて初めて自分のお金で買ったLPレコードは「A LONG VACATION」だった
僕が初めてギターで弾こうと練習した曲は「君天」だった
(もちろんギター一本であの曲っぽくなるはずない!!でもその悪戦苦闘のおかげで僕は分数コードを知った)
僕が「日本の喜劇人」という本を知ったのも大滝詠一のおかげだった
僕がクレイジーキャッツを、というか萩原哲晶氏のアレンジワークのとんでもなさを知ったのも
大滝詠一のおかげだった
僕がフィルスペクターという「プロデューサー」の仕事を知ったのも大滝詠一のおかげだった
CMソングの事を子供ながらに調べてTVでかかるたびに「これはねー作曲がねー」と周りに解説を始める
いやーーーーーーーーーーーなガキになったのも大滝詠一のおかげだった
山下達郎氏も伊藤銀次氏も佐野元春氏も杉真理氏を知ったのも大滝詠一のおかげだった
僕が生まれる何十年も前から「ポップミュージック」は存在していて僕等に聴かれる事を待っている
そんな1950年代からの音楽の宝の山のありかを教えてくれたのも大滝詠一だ
そしてもちろんこんなビデオを作ったのだって大滝詠一のおかげだ
僕等大滝ファンは「待つ」事には慣れっこで
今度はイーチが僕等を待っててくれるなんてちょっと不思議な気持ちがする。
レースはまだ終わりじゃないさ
ゴールは霧の向こうさ
だから僕は来年もおんがくを聴いておんなのこを撮る
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