力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女の中をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは歌なり
(古今和歌集 仮名序より)
とはーーー!!ビッグニュースでっす!
弊社、昨日無事解禁となりました
アーバンギャルド様の新曲「ラブレター燃ゆ」の
PV(プロパガンダヴィデオ)の制作を担当させていただきましたッッ!
じーーつは「水玉病」の頃からファンで発売される新譜は
購入させていただいていたのですが
そんなアーバンギャル系ファンだからこそ
今回制作するにあたって一つ懸念していた事が!
テクノポップとはクラフトワーク、YMOといったレジェンド
達によるコンセプトをあげるまでもなく
その表現のコアにあるのは「批評性」で。
現前化された対象とどう"切り結ぶ"のか?
その血が噴き出すような批評眼の切っ先が頂点に達したのが
前作「鬱くしい国」だと僕は思っていました。
であるがゆえに「鬱くしい国」は松永天馬氏が一人日本刀を掲げて
現実に対して闘いを挑むようなキリキリとした作品で
もももももしかして天馬先生このまま死んじゃうんじゃ・・・・
と心配したことを覚えています。
それに続く新作という事であの作品以上に死へと接近しているならば
今年「DREAM MACHINE」という遺書のような映画を図らずも
作ってしまった弊社としてはもう松永氏に「憂国」的切腹を迫るような
血みどろ系な映像しか作れないなぁ・・・・・と思っていたわけでした。
ととととととところが!!!
いただいた「ラブレター燃ゆ」の音源を聴いて僕は驚愕しました
これはとんでもなくポップな作品だぁーーーーーーー!!
御聞かせいただいた「昭和九十年」アルバム全体もそうですが
ラブレター燃ゆには、平成的な現実のその先を目指そうという強い意志がみなぎっていて
その「アンセム度」に僕はノックアウト!!!
なんとかこの曲の世界観を映像にしてみたいと思いました。
事前の松永天馬氏そして浜崎容子様からのリクエストは以下の通り
①エアメールモチーフを絶対に使ってください
②各メンバーのキャラクターが分かるモノにしたいです
①に関しては特大エアメールを作ってOK!!!
でハタ!!と困ったのが②でした・・・・・・・
「ラブレター燃ゆ」のメッセージとアーバンギャルドのメンバー全員を繋ぐモチーフ。
もうこのあたりで完全に"昭和九十年病"に犯されていた僕は
そーーーーーーーーーーーーーか!!これだぁーーーーーーー!!
アーバンギャルドの楽曲が僕に意味するものそこへ戻ればいいのだッッ!!
それが冒頭にあげた
言霊
言葉が音がそれが一体となった歌が、あらゆる事の理を超える事
死と生の間を繋ぐ至福のDEATH LETTER
そーーー決まってからは速攻で
赤い死、青い死、そして白い死。
"昭和的なトリコロールな死"をそれぞれのメンバーがレペゼン
その死と再生を告げる超越的な存在としての浜崎女史!!!!!
というコンセプトが固まりました。
そして前作を超えて行こう、現実のその先を見せよう
という楽曲の意志を受けて、僕はアーバンギャルドというBANDの武器である「ユーモア」
特に初期の映像に顕著な全てを俯瞰した位置から放たれる様々な要素を
これでもか!と詰め込む「編集感覚」を全体の構成にしよう思いました
そんな流れで制作された「ラブレター燃ゆ」
面白かったのは最終的な編集作業!!!
仮に出来上がった所謂「プレビュー版」に対して
松永氏&浜崎女史に弊社にお越し頂いてワンカットずつ修正をしていくわけですが
こーーの作業がメチャクチャおもしろかった!!!!
松永氏と浜崎女史の「関係性」は言うまでもなくアーバンギャルドというバンド
を動かしている最大のエンジンの一つで。
ただその制作時における構造はどうなっているんだろう???
そこは物凄く興味があるところでした。
夜から始まって翌日の朝までの徹夜作業
2人の関係を一言でいうなら
正に「戦友」
時には一瞬触発なキリキリしたやり合いがあり
「このカットはないでしょ!!」(浜)
「いや!これはコレでいいと思う」(松)
そして時には互いのシーンを褒め合う交感があり
あーーーーーーーーーーーーーーーーーなるほど!!
この二人の関係性における緊張感こそがアーバンギャルドを
常にアップトゥーデートされた表現体として更新していくキモなんだなぁーーと!!
昭和九十年という事
そして松永氏によって繰り返し言及される「戦時下」というアジテーション。
昭和と平成を分かつ最大の事象は「戦争の有無」だと僕は思います。
以前コチラの記事に書かせていただきましたが
優れたアーティストの作品は僕等に来るべき未来の姿を
予見させてくれるモノだと思います。
戦時下という「昭和九十年」で提唱されるパラレルワールド
それが単に消費されるべき二次元的な「フィクション」ではない事
アーバンギャルドの新作、昭和九十年は僕等がまだ見据えていない未来
それこそを見ろ!! と迫るロックミュージックの、そして優れた表現が担うべき
使命を真正面から引き受けた傑作だと思います。
僕等は&私達はガスマスクを身に着ける事でその先へと目を凝らさなくてはならない
僕等は&私達はガスマスクに映る絶望のその先を知性という名の真のテロリズムで更新しなくてはならない
ラブレター燃ゆは僕等&私達にその覚悟はあるか??を問う2015年屈指のアンセムだと思います。
このPVの中にはその覚悟を促す色々な「ネタ」をちりばめましたので
「蟹」や「金田一」をはじめ細かい小道具まで是非楽しんでいただければ幸いです!!
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